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和の感性を、世界の日常へ 「日本らしさ」を“売れるプロダクト”に翻訳する
2026.02.10

海外向け和テイストB5ノートを製造しニュージーランドでテスト販売
日本文化をモチーフにした商品は、海外市場において安定した人気を誇ります。しかし一方で、「日本らしさ」をそのまま形にしただけでは、現地の生活や売り場に根付かず、継続的に選ばれる商品になるとは限りません。
今、広告宣伝や商品開発の現場では、文化的な魅力をどう翻訳し、日常の中で自然に使われる形へ落とし込むかが問われています。
吉岡印刷株式会社は、海外の方向けに和テイストを取り入れたB5ノートを3種デザイン・製造し、ニュージーランドの商社を通じて現地でのテスト販売を行います。
この取り組みは、単なる海外向け商品開発ではなく、日本文化の魅力を「使われるプロダクト」として成立させるための実証的な試みでもあります。
テスト販売という、丁寧なアプローチ
今回の販売は、本格展開に先立つテストマーケットとして位置づけています。
ニュージーランドは多文化が共存する国であり、日本文化への関心も高いといわれています。一方で、生活様式や価値観は日本とは異なり、デザインや価格、使い勝手に対する評価も異なります。
そのため吉岡印刷では、「売ること」だけを目的とせず、
・どのデザインが選ばれるのか
・どんな用途で使われるのか
・日本らしさはどう受け止められるのか
といったリアルな反応を把握し、今後の商品企画へ活かすことを重視しています。

3つのデザインで表現する、日本文化の幅
テスト販売するB5ノートは、日本文化を題材としながらも、異なる角度から「日本らしさ」を表現した3種類のデザインで構成しています。
一つ目は、寿司と北斎風の波を組み合わせ、デフォルメしたユニークなイラストのデザイン。海外でも認知度の高いモチーフを用い、直感的に楽しめる親しみやすさがあります。
二つ目は、燕脂色を基調に、寺社仏閣や忍者、花魁、武士、折り紙、灯籠などをアイソメトリック的に配置したグラフィカルなデザイン。日本文化を一つの世界観として俯瞰できる構成となっています。
三つ目は、富士山、桜、鳥居、扇といった象徴的な要素を、淡く落ち着いた色調の手描き風イラストでまとめたデザイン。日常使いしやすく、長く愛用できる一冊としました。
方向性の異なる3種を用意することで、日本文化の多様さを提示すると同時に、市場の反応を立体的に検証する試みです。
「印刷する」ではなく「形にする」ための体制
このノート制作の背景には、吉岡印刷が長年培ってきたものづくりの考え方があります。
吉岡印刷では、印刷物を単なる成果物としてではなく、目的を達成するための手段として位置づけてきました。何を伝えたいのか、どんな場面で使われるのか。その前提を共有したうえで、仕様や表現を組み立てていきます。
企画・デザイン・印刷・加工・検品・納品までを一貫して対応する体制は、意図のズレを抑え、細部まで目の行き届いた制作を可能とします。
今回のノートにおいても、イラストの線や色のニュアンス、紙の質感との相性などを丁寧に確認し、日本文化特有の繊細さが損なわれない仕上がりを目指しました。

技術は「選択肢」として寄り添う
吉岡印刷は、特色印刷や特殊紙、加工表現など、幅広い技術を有しています。しかし、それらを前面に押し出すのではなく、必要な場面で適切に組み合わせることを大切にしています。
お客様のご要望や表現したい世界観に対して、どの技術が最もふさわしいかを考え、過不足のない仕様を提案する。その積み重ねが、ブランドや商品の印象を支えています。
また、品質面においても、各工程で常に確認を行っています。スケジュールや効率だけに流されず、「使う人にとってどうか」という視点を基準に判断する点は、吉岡印刷の制作姿勢を象徴しています。
広告宣伝の視点で見る、今回の取り組み
今回のB5ノートは、海外向け商品であると同時に、広告宣伝における「紙の役割」を改めて示す存在と考えています。
デジタルが主流となった今でも、手に取れるプロダクトは、体験として記憶に残りやすく、ブランドへの理解や好意を深める力を持っています。
記念品や販促物、ブランドツールとして、紙は今なお重要なメディアです。そこに文化性や物語性を持たせ、使われる形に落とし込むことができれば、紙は単なる情報媒体ではなく、ブランド資産として機能します。
世界へ向けた、静かな挑戦
ニュージーランドでのテスト販売は、吉岡印刷にとって大きな一歩であると同時に、慎重に歩みを進めるためのスタート地点でもあります。
市場の声に耳を傾けながら、日本の文化や感性を、無理なく、誠実に世界へ届けていく。
紙という身近な素材を通して、人と文化をつなぐ。
吉岡印刷のB5ノートは、その姿勢を静かに体現するプロダクトです。

